主人公のメアリーは小学一年生です。
毎朝クラスの友達がかわりばんこに自分の宝物についてお話をします。
メアリーはとっても恥ずかしがり屋さん。
みんなが喜んで聞いてくれるような話しを上手にする自信なんて全然ありませんでした。
担任のウィレット先生が毎朝のように「今朝はみんなに宝物のお話をしてくれますか?」と聞きますが、メアリーは首を横に振り下を向いています。
お父さんも仕事から帰ってくると「今日はみんなに宝物の話しをできたかい?」と尋ねます。
「ううん、まだなの。」メアリーの返事も毎晩同じでした。
初めて買ってもらったピンクの雨傘のこと…お兄ちゃんと捕まえたバッタ…色々思い浮かぶのですが、どれもクラスの友達を驚かせるような物ではありません。
ある晩、とっておきの宝物を思いつきます!!
メアリーはお父さんに、一緒に学校へ来てくれるようにお願いしました。
そして、遂に!
メアリーは、目をキラキラと輝かせ、自分の大切な宝物について話すことができたのです。
それは…「私のお父さん」!!
話し終えると、ふーっと大きな息をして、とってもいい気持ちでした。
メアリーはみんなの前で宝物の話しをすることができたのです。
それも、誰も思いつかなった素敵な宝物を…
自宅の本棚を眺めていて、この本を手に取ったきっかけは、作者のユードリイに惹かれたから…。
彼女を知るきっかけは、絵本「木はいいなあ」(コルデコット賞/1957年)なのですが、おおらかで優しく、温かい。読んでいて、穏やかで静かな時間が流れる彼女の作品が、個人的に大好きです。
読んでみると、内気な主人公メアリーの心の揺れ動きや、一歩踏み出す勇気と成長が、我が子と重なり、懐かしさでいっぱいに…。
物語の中の担任の先生も、お父さんも、メアリーに対して、無理強いしないところがとっても素敵 ✨
でも、様子を見ながら、そっと言葉をかけています。
本人が勇気を出して、自分のタイミングで踏み出すことを待っている。
メアリーなら出来ると信じているのですね ✨
いい大人の見守りのある家庭・学校、子どもが主役でいられる大人と子どもの関係性がとても素敵ですね…😌💕
自発的な発言や行動って、「大人」にとってはごくごく当たり前のことなのですが、大人の用意した環境でしか過ごすことのできない「子ども」にとっては、そうはいかないこともしばしば…。
「大人」の役割のひとつは、「子ども」の思いを受けとめ、愛と余裕を持って見守り、そして忍耐を持って待つ(笑)簡単なことのようで一番難しいのかもしれないなと、改めて立ち返り、これからも大切に生きていきたいなぁ…と感じた次第です。
こう考えるきっかけをくれるのも「子ども」の存在があってこそですね。
物語中の言葉を借りて表現するなら、「あのね、わたしのたからものはね こどもたちです」かな。
幼年童話の分類になりますが、登場人物は少なく、文字も多くありません。
挿絵も多く、場面をイメージしやすいです 🤗
ぜひ一度、手に取ってみてください 📚
文 責:田場 依子
作 / ユードリイ 絵 / ミル かわいともこ / 訳 偕成社 初版 / 1983年
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