「子ども達が自立できるように支援する」…子ども達と関わるところでは、見たり聞いたりすることの多いことばです。
今回、成年期の課題として「本人の自立」「社会参加の継続」「親亡き後のこと」をテーマに開催された、全国LD親の会の公開フォーラム「生涯にわたっての支援をつなぐ」に参加して、そもそも「自立」ってどういうことだろう?「自立のための支援」とは何だろう?ということを、改めて考え直す機会となりました。色々な方と共有できるといいなと感じたので、ご紹介します。
基調講演「成年期以降をどう生きるか、そして見守り支えるか~本人と家族の思いを考える~」
「親なき後」を点で、検討するのではなく、その前後を繋ぐ線で考える。
少なくとも未来の準備のために、今の生活をすべて「準備」に捧げるべきでない。
今の生活の中に楽しみがある・・・それが先に繋がる
● 自立とは、他の援助を受けずに自分の力で身を立てること(厚生労働省「自立の概念等について」)
● 三大自立
・経済的自立:自分の収入で生活すること
・生活的自立:身の回りのことを自力で行うこと
・精神的自立:将来の目標を自分で決める(自分はこう生きたいと願い実践すること)
👩 親の心配は、経済的自立と生活的自立の手助け 👨
👧 本人にとって必要な自立は、精神的自立の確立 👦
☆ 自立とは、他の援助を受けずに自分の力で身を立てることではなく、適度に依存すること
・生活における三大要素『働く・暮らす・遊ぶ』・・・「遊ぶ」の大切さ
・好きなことを、適度に継続している
・仲間作り
・居場所の確保
・支援者の関係性
・自己理解を深める
👉 そのために・・・【自分の取説(トリセツ)】を作る
💡 良い面、心配な点等を書き出すことで、後で読み返しながら振り返ることができる
同じ診断名を持っていても、同じ人生を歩んでいるわけではない
→ 色々な要素を持っていることを知ることが大切‼
自分一人で作るだけでなく、ピアサポーターやサロン等で、仲間同士で作ることもできる
・私が依存できる先は親だけでした。だから、親を失えば生きていけないのでは、という不安がぬぐえなかった。でも、一人暮らしをしたことで、友達や社会など、依存できる先を増やしていけば、自分は生きていける、自立できるんだということがわかった
・「自立」とは、依存しなくなることだと思われがちです。でも、そうではありません。「依存先を増やしていくこと」こそが、自立なのです。

仲間を信じることができるのは、親が育んだからでもあり、「依存先を増やしていくこと」の土台には、親に安心して依存できる生活がある。
地域生活を支え合うために
成年期といっても、ある日突然大人になるわけではない。
子どもからの積み重ねがある。
● ご本人が人を嫌いではないこと
● 地域に色々なネットワークが存在すること
● 支援者が長くその地域に存在し続け、体制整備の要になることが大切
本人はどう思っているのか…?
親の会で実施したアンケートや聞き取り等から
・WISC等の検査結果をベースに自己理解を深めた(北大で実施していた土曜教室での取り組み)
→「あのとき説明してもらってよかった」「学校や進路選択に役立った」
・保護者同士のエンパワメント、情報交換(子ども達がレクで遊んでいる間のおしゃべり等)
・同じ境遇の子どもと会うことができた
・自分の意見を話しやすい場所だと医療機関や相談機関に繋がりやすい
・親以外の人と子どもが話しているときに、親と話さないことを話している(コミュニケーションレベルが上がる)→家と違う子どもの姿を見て、保護者も喜ぶ
👉 今までの関わりの外にいる人と話すことで、子どもと親の世界が開かれる
👉 自分の思いを話す。自分で話せた。→ 伝わった → 自信に繋がる
☆【○○プログラム】や【▲▲スキル】がなくてもいい。普通に話をする、やりとりをすることで自信に繋がる
子どもの延長上に成年期がある
あっぷっぷでの【今の】子ども達との関わりが【親なき後】にも繋がっていく
子ども達が日々の生活の中で「今、楽しい」と感じる活動をすること、子どもも大人も自分の思いを出せる居場所であること、人との関わりを通して「人を嫌いにならない」でいられるように・・・
これまであっぷっぷで大切にしてきたことを、これからも大切にしながら、子どもも大人も【楽しい】療育を続けていきたいと考えています。
文責:中村 春馨
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